学習漫画でフクロウを描くことになったらどうするか

   

こんにちは。国府町怒児と申します。
えっ、小学校とかに置いてある「日本の歴史」で学習漫画を描くことになったんですか?
それはすごい。
おめでとうございます。
でもあれ、絶対フクロウを登場させないといけないじゃないですか。
ナビゲーター役というか、狂言回しというか、そんな役で。
「鎌倉自体ではこんなことをやっていたんだホウ」みたいな。
その辺は大丈夫なんですか?
大丈夫じゃないですよね?
分かりました、私が学習漫画でフクロウを描くときの悩みを全部解決します。

 

何でフクロウなんか描かなくちゃいけないんだよ

学習漫画でフクロウを描くことになったとき、最初に躓くのが「何でフクロウなんか描かなくちゃいけないんだよ」という点です。
カエサルや織田信長みたいな歴史上の人物を描きたいんだよこっちは。
そう仰る気持ちも分かります。
しかし、これは子供向けの学習漫画だということを思い出して下さい。
物語の導入からいきなり「さあ勉強して知識を増やしましょう」という感じを出すと敏感に察知されてしまうんです。
そこで、フクロウや博士といったキャラクターに世界を案内させる形を取ることで、勉強へのアレルギーから少しでも気を逸らそうとしているんです。

 

フクロウである必要性

じゃあ何でナビゲーターがフクロウでなくてはいけないのか。
他の鳥や動物でもいいじゃないか。
そんな意見もあるでしょう。
確かにそうなんです。
そうなんですけど、フクロウが選ばれやすい理由もあるので説明しておきます。

フクロウは、「ギリシャ神話の女神・アテナの従者」(『フクロウの大研究』2006)だったことが知られています。
アテナは、「知識、学問、芸術、技術などを守る神」(同 2006)だったため、
従者であるフクロウがいつの間にか「知恵や学問、芸術のシンボル」となったのです。
知恵や学問、芸術のシンボル。
どうですか、学習漫画のナビゲーターにうってつけではないですか。
学習にも漫画にも親和性があります。

 

どうやってフクロウを描けばいいんだ

なるほど、フクロウが登場しなければいけない理由は分かった。
となると次は、どうやってフクロウを描けばいいのかという疑問が湧いてくるかと思います。
確かに人間と違って、鳥ってそんなポーズの種類ないですからね。
そんなときは先輩方の仕事を参考にすればいいんです。
集英社の『学習漫画 世界の歴史』からフクロウの登場パターンを分析しましょう。

 

紹介


(『学習漫画 世界の歴史(3)ブッダと秦の始皇帝』15p参照)

フクロウの登場シーンで最もオーソドックスなのが「紹介」です。
その名の通り、歴史上の何かを紹介したいときに出てきます。
羽の片方を持ち上げ、絵を指すようにします。
学校や塾の先生が黒板に書いたことを強調するときのようなイメージをすると分かりやすいです。

 

指差し


(『学習漫画 世界の歴史(3)ブッダと秦の始皇帝』46p参照)

「紹介」よりもさらにフクロウを漫画っぽく表現したのが「指差し」です。
羽の形を人間の指のようにして人差し指を立てています。
意味合いは「紹介」とほぼ同じなんですが、「紹介」を多用しすぎてワンパターンになりそうなときに使えます。

 

俯瞰


(『学習漫画 世界の歴史(7)チンギス=ハンと李舜臣』98p参照)

歴史上の出来事を一歩引いた目線から解説したいときは「俯瞰」を使うといいでしょう。
何だかんだ言って鳥ですからね。
高い位置から見下ろす視点がよく似合っています。
飛びながら海上を見下ろしたり、木の枝に掴まって解説したりする構図もよく見られます。

 

大変


(『学習漫画 世界の歴史(12)アヘン戦争とシパーヒーの反乱』130p参照)

戦争や合戦をドラマチックに描きたいときは「大変」の技法を使います。
目を見開いて、翼も大きく広げます。
画像では汗を垂らしていますが、これも緊迫感を出すのに一役買ってますね。

 

その他の技法

上の四つほどは頻出しないのですが、個人的に「おっ」と思った登場パターンも紹介します。
幅を広げるのに役立ちますよ。

 

着ちゃう


(『学習漫画 世界の歴史(7)チンギス=ハンと李舜臣』16p参照)

その土地の衣服をフクロウが着てしまうパターンがありました。
あまりの大胆さに当初は面食らいました。
ただ、確かに世界観には馴染みやすくなりますもんね。

 

メガネ


(『学習漫画 世界の歴史(11)市民革命とナポレオン』123p参照)

より賢い感じを出すためにメガネを付けてる場合もあります。
法整備の進む近代以降に使えそうですね。
それにしてもフクロウはメガネ似合うな。

 

講釈師


(『学習漫画 世界の歴史(12)アヘン戦争とシパーヒーの反乱』49p参照)

フクロウの持つ狂言回し的な側面が加速した事例です。
講釈師のように扇子で台を叩いていますね。
「し・か・も!」と話すテンポに強弱を付けてるのもリアリティがあります。

 

アップ


(『学習漫画 世界の歴史(12)アヘン戦争とシパーヒーの反乱』49p参照)

大ゴマの隅で解説するのに留まらず、フクロウ単独でアップのコマを持つときもあります。
目の鋭さは流石の猛禽類です。
因みにこれは同じアヘン戦争の場面で、講釈師の方と同じ漫画担当者が描いています。

 

腰に手


(『学習漫画 世界の歴史(15)ビスマルクと列強のアフリカ侵略』45p参照)

腰に手を当てたフクロウもいました。
何かちょっと偉そうに感じるのと、足のところがももひきっぽくて、
妙な人間味を感じます。

 

おわりに

これだけあればどんな学習漫画でもフクロウを自由に登場させられますよ。
どうですか、フクロウさん?
フクロウとしてもこれだけ分析されれば満足なんじゃないですか?


(『学習漫画 世界の歴史(11)市民革命とナポレオン』123p参照)

忙しくて聞いてませんでした。

 

参考資料

『GATAG フリー画像・写真素材集1.0』http://www.gatag.net/(最終確認2017/05/10)
『フクロウの大研究』 国松俊英 関口シュン 2006 PHP研究所
『学習漫画 世界の歴史(3)ブッダと秦の始皇帝』 平勢隆郎 野澤真美 2002 集英社
『学習漫画 世界の歴史(7)チンギス=ハンと李舜臣』 斯波義信 人見倫平 2002 集英社
『学習漫画 世界の歴史(11)市民革命とナポレオン』近藤和彦 笈川かおる 2002 集英社
『学習漫画 世界の歴史(12)アヘン戦争とシパーヒーの反乱』 並木頼寿 青木庸 2002 集英社
『学習漫画 世界の歴史(15)ビスマルクと列強のアフリカ侵略』 石井規衛 中村結香 2002 集英社

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