ラッキーマンに出てきた「ブリッジをしてるハゲタカ」に関する考察

   

こんにちは。国府町怒児(こうまちぬんじ)と申します。

とっても!ラッキーマンという漫画をよく読み返してるんですが、新たに気になることが出てきました。

とっても!ラッキーマンとは

とっても!ラッキーマンは、1993年から1997年に週刊少年ジャンプで掲載された

ギャグ漫画です。作者であるガモウひろしの代表作です。
全ての敵にラッキーのみで勝つラッキーマンが、
仲間とともに地球のために戦っていくというストーリーになっています。

ブリッジをしてるハゲタカが気になる


(『とっても!ラッキーマン』2巻16p 参照)

そんなラッキーマンの中で私が着目したのは、コミックス2巻に出てきた「ブリッジをしてるハゲタカ」についてです。一周目はもちろんただのギャグとして笑っていたのですが、何周も読んでいる内にこいつの背負っている背景が気になってきたのです。
こいつは一体何なんだ。
どういう事情でブリッジをする羽目になったのか。
「そんなの初めて気にしたよ」「ラッキーマンは読んでいたけどそんな奴知らないぞ」という方のために、登場シーンから紐解いていきます。

ブリッジをしてるハゲタカについての登場


(『とっても!ラッキーマン』2巻9p 参照)

「ブリッジをしてるハゲタカ」は、コミックス2巻でシルエットクイズの問題として出題されたハゲタカです。
この回では、アタック25星雲という場所から来たナゾラーと、ラッキーマンがクイズバトルを繰り広げます。
ラッキーマンは、当然のようにラッキーだけで知識問題に正解し続けます。
そこでナゾラーの用意したのが、ずるいシルエットクイズです。


(『とっても!ラッキーマン』2巻15p 参照)

一見するとただのウサギに見えますが、素直に答えると不正解になります。


(『とっても!ラッキーマン』2巻15p 参照)

しかしラッキーマンは運よく問題が全く分からず、当てずっぽうで「ハゲタカ」と答えます。


(『とっても!ラッキーマン』2巻16p 参照)

これが大正解。
シルエットの正体が明かされると、そこには頑張ってブリッジをしてるハゲタカが現れたのです。

ブリッジをしてるハゲタカは、どういう種類のハゲタカなのか

まず気になるのは、このハゲタカがどういう種類のハゲタカなのかということです。
ハゲタカと言ってもたくさん種類がいますからね。
せっせと図鑑で調べました。
サイズから考えると、アフリカで最もポピュラーな「コシジロハゲワシ」という種類に近そうです。
因みにタカとワシの違いは、「タカ科のなかで中型や小型のなかまをタカと呼び、ワシと区別していますが、タカにもクマタカのように大型のものがいて厳密にはわけられていません」(『学研の図鑑LIVE 鳥』2014)とのことです。

コシジロハゲワシは、「サハラ砂漠以南」(『ネイチャーガイドシリーズ 世界の鳥たち』2015)の「海抜3,000mの高知にある平地およびサバンナ」(同 2015)に生息しています。体長は「78~90cm」(同 2015)なので、ラッキーマンの顔を20cmとすると画像と概ね一致します。「滑空しながら舞う」(『ビジュアル博物館第69巻 猛禽類』1998)ことができるように、分厚く巨大な翼を持っているのも特徴です。

ただ、ハゲタカは「頭を死骸の中に突っ込んで肉を食べるため、頭や頸には羽がない」(同 1998)はずなんですが、ブリッジをしてるハゲタカは顔と首に羽が生えてますね。
その点を重視すればエジプトハゲワシということになりますが、体毛の色(エジプトハゲワシは白)やサイズが合わなくなってきます。
もしかしたらブリッジハゲタカという新種なのかもしれません。

なんでブリッジをしてるのか


(『とっても!ラッキーマン』2巻16p 参照)

動機も重要です。このハゲタカは、なんでブリッジをしてるのでしょうか。
特技なんでしょうか。
人間で言う、歯でヒモを引っ張ってトラックを動かしたり開脚した状態で体を床につけたりする感じなんでしょうか。
私は最初そう考えました。
でも、このハゲタカ「うお~っくるし~っ」って言ってるんですよね。
大分無理をしている。
日常的に芸としてやってることだったら、もうちょっと余裕があってもいいはずです。

となると、何らかの事情で渋々ブリッジをしている線が浮上してきました。
もしかしたら、体を張ってでも漫画に登場する必要があったのかもしれません。
例えば、ハゲタカという存在についてのPRなんかが考えられます。

ブリッジをしてるハゲタカは考えた

では何故存在をPRする必要があるのか。
先述したコシジロハゲワシは、絶滅危惧種IB類(『ネイチャーガイドシリーズ 世界の鳥たち』2015)です。

絶滅危惧種IB類というのは、レッドリストのランクのことで「ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの」
(『環境省 レッドリストのカテゴリー(ランク)』)という位置づけです。
絶滅危惧種の中では真ん中くらいであるものの、危機に瀕していることは間違いないランクにいます。

他のハゲタカの仲間も絶滅の危機に瀕している種がいくつかあります。
このままだと種が滅びてしまう。
誰かが立ち上がらなくては。
そんな空気の中、漫画出演の話が舞い込んできます。

「ラッキーマンという漫画で、ブリッジのできるハゲタカを探しているらしい」と。
どうやらシルエットクイズでブリッジをすることでウサギそっくりに見せたいらしい。
瞬く間にハゲタカの仲間に情報が伝わります。
ブリッジ?そんなことできるハゲタカがいるのか?
そもそも鳥の骨格的に無理じゃないか。

多くのハゲタカが荒唐無稽な話として一笑に付す中で、一羽のハゲタカだけは違うことを考えていました。

確かに鳥類にとってブリッジは難しい。
でも、ラッキーマンと言えば週刊少年ジャンプ掲載の漫画ではないか。
発行部数は600万部をゆうに越えている(1994年当時)。
出演できれば、ハゲタカの認知度を向上させるアピールになることは間違いない。
またとないチャンスだ。
何とかブリッジを成功させるしかない。

そして名乗りを上げたのが、あの「ブリッジをしてるハゲタカ」なのです。

ブリッジの練習をする日々

そうと決まったらひたすらブリッジの練習をするしかない。
まずは、羽と足で地面を支えるところから始める。
どちらも普段の関節の可動範囲とは逆に曲げなくてはならない。
ブリッジをするなんて想定で鳥の体は作られていないからだ。

地道なストレッチ。
狩りの合間を縫っての練習。
最初は笑っていた群れの仲間たちも、ブリッジハゲタカの熱意に押され、協力するようになっていく。
今日の餌は俺が取ってきてやるよ。
もっとクチバシを上に向けたほうがウサギっぽいんじゃないか。
こういった後押しもあり、無謀かと思えた挑戦に光が見え始めた。

そしてラッキーマン当日

さあとうとう来た。ナゾラー対ラッキーマンの回だ。
ブリッジハゲタカに緊張が走る。
成功するだろうか。
いや、もう考えるのはやめよう。
日本まで来てしまったんだ。後には引けない。

「続いてシルエットクイズーッ!!さーっこの動物は何でしょーっ?」(『とっても!ラッキーマン 2巻』1994)
ナゾラーの声がかかる。
ライトが照らされる。
今だ。ここで訓練の成果を全て出すんだ。
ハゲタカは羽に力を込め、ブリッジの姿勢を取った。

シンキングタイムに入るラッキーマン。
早く答えてくれ。
ブリッジの姿勢はするのもさることながら、キープするのも難しい。
1秒が1時間にも感じられる静寂の中、ついにラッキーマンが回答を出す。
「ハゲタカーッ!」(同 1994)
見事だ。見事だよラッキーマン。
限界を迎えつつある意識の中、ハゲタカは地球のヒーローを称えたのだった。

みたいなストーリーがあると思うんですよね。
どう思います、学校の先生?


(『とっても!ラッキーマン』2巻8p 参照)

ほんとほんと。

参考資料

『GATAG フリー画像・写真素材集1.0』http://www.gatag.net/(最終確認2017/05/04)
『とっても!ラッキーマン』2巻 ガモウひろし 1994 集英社
『ビジュアル博物館第69巻 猛禽類』ジマイマ・パリー=ジョーンズ(著),柿沢 亮三(日本語版監修),フランク・グリーナウェイ(写真)1998 同朋舎
『学研の図鑑LIVE 鳥』小宮輝之(監修) 2014 学研プラス
『ネイチャーガイドシリーズ 世界の鳥たち』デイヴィッド・バーニー(文) 後藤 真理子(訳) 2015 化学同人
『環境省 レッドリストのカテゴリー(ランク)』
http://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/rank.html(最終確認2017/05/04)

 - 考察系