トリコのゲロルドに見る「怪鳥観」に関する考察

   

こんにちは。国府町怒児(こうまちぬんじ)と申します。
皆さんはどんな化け物が好きですか?
ゴジラみたいな恐竜タイプでしょうか?それとも幽霊みたいなタイプでしょうか?
私は、断然怪鳥です。
東に病気の怪鳥がいれば行って看病してやり、東に疲れた怪鳥あれば代わりに雛を育ててます。

そして、私の他にもどうやら怪鳥好きがいるということが分かってきました。
漫画『トリコ』を描いてらっしゃる島袋光年です。

ということで、今日は、トリコに出てきた化け物から、
島袋光年の「怪鳥観」について考察していきたいと思います。

トリコとは

まずは、トリコについて軽く説明しておきます。
トリコは、2008年から2016年まで週刊少年ジャンプで連載されていた少年漫画で、食材を求めて旅をするバトル漫画です。
美食家のトリコとシェフの小松の旅を中心に、強敵とのバトルや食材への飽くなき探求、それに食を通じた仲間たちとの助け合いが描かれており、少年ジャンプのテーマである努力・友情・勝利が満遍なく摂取できる作品です。
アニメ化、映画化もされています。
8年間の長期連載の割に終わり方もちゃんとしていて、私が大好きな作品の一つです。

そのトリコを読んでるときに私が出会ったのが


『トリコ』KC3巻 101p参照

怪鳥ゲロルドです!!

怪鳥ゲロルドは、コミックス3巻のコロシアムに登場した鳥の化け物です。
怪鳥好きの私としては、「おっ、怪鳥来たじゃん」と胸が高鳴る場面でした。
と同時に、ふっと別の怪鳥が頭をよぎったのです。


『世紀末リーダー伝たけし!』KC12巻 10p参照

怪鳥ゲルババです!!

怪鳥ゲルババは、世紀末リーダー伝たけし!という漫画のモービー編に出てきた鳥の化け物です。
ん、トリコと世紀末リーダー伝たけし?
お気付きになりましたでしょうか?
この2つの漫画は、なんと同じ作者が描いています。
2作品に渡って怪鳥を登場させるとは、どれだけ怪鳥好きなのでしょうか。

しかもゲルババの登場したのは2000年、ゲロルド登場が2009年と10年近く経っているのに、2羽の怪鳥は非常によく似ています。
これは、島袋光年の中に確固たる怪鳥観(かいちょうかん)があることを示しています。2羽の共通項を洗い出すことで、島袋が怪鳥に込めたメッセージを読み解いてみましょう。

5つの共通点

怪鳥ゲロルドと怪鳥ゲルババ。
2羽の怪鳥を比べていくと、
①とにかくでかくあれ
②首はいっぱいあれ
③濁点は多めであれ
④ある程度強くあれ
⑤それでいてあっさりやられろ
という、5つの共通点が浮き彫りになってきました。
それぞれ個別に解説を加えます。

①とにかくでかくあれ


『トリコ』KC3巻 102p参照/『世紀末リーダー伝たけし!』KC12巻 20p参照

怪鳥たるもの、とにかく体がでかくなくてはなりません。
ゲロルドもゲルババも双方巨大です。
確かに、掌サイズの怪鳥って見たことないですもんね。
基本的ですが見逃されがちなポイントです。

【②首はいっぱいあれ】


『トリコ』KC3巻 101p参照/『世紀末リーダー伝たけし!』KC12巻 10p参照

怪鳥と呼ばれるからには、普通の見た目ではパンチが弱いです。
それはただ、大型の鳥ですからね。
となると、首はいっぱい欲しいですよね。
ゲロルドは首が5つ、ゲルババも3つ首があります。
結局鳥って、パーツ的に増やすところが「頭」「翼」「脚」くらいしかないんですよね。
脚を増やすと鳥なのにそんないらないだろってなるし、翼は描くのが面倒なので、
消去法で頭になるということでしょうか。

③濁点は多めであれ


『姓名判断 彩』http://namaeuranai.biz/(最終確認2017/04/22)

怪鳥のおどろおどろしい感じを出すために、ネーミングは非常に大事です。
濁点は多めにつけてあげましょう。
ゲロルドは4文字中2文字、ゲルババに至っては4文字中3文字が濁点です。
間違っても、「ピーチャン」「チュン吉」などの名前は避けましょう。
台無しです。
この辺り、島袋光年は非常に怪鳥の特徴をよく捉えてるなと思います。
因みに、姓名判断をしたら2羽とも家庭運が大凶でした。
怪鳥は家庭に向かない。

④ある程度強くあれ


『トリコ』KC3巻 101p参照/『世紀末リーダー伝たけし!』KC12巻 21p参照

怪鳥ですから、ある程度の強さは持っていて欲しいです。
「怪」という言葉には、恐れおののくような存在というニュアンスが含まれています。
だから、めちゃめちゃ弱かったりすると、恐れの対象にならないんです。
怪獣、怪物もそうですよね。
実際、ゲロルドは捕獲レベル15と、人間界の猛獣の中では高いレベルを持っています。
ゲルババも、ブロルというそこそこ強い奴の軽く3倍の実力を保持しています。
右の口から炎、左の口から氷、正面の口からはイナズマを吐くんですって。
そりゃ強いわ。

⑤それでいてあっさりやられろ


『トリコ』KC3巻 152p参照/『世紀末リーダー伝たけし!』KC12巻 31p参照

④と矛盾するようですが、怪鳥はあっさりやられないといけません。
何故か。
漫画には「でかい奴は小さい奴に負けろ」の法則があるからです。
でかい奴が小さい奴に勝つのは、そのまま過ぎてつまらない。
だから、でかい奴は自分にそこそこ力があることをアピールした後は、強くて小さい奴にやられないといけないんです。
そうすることで、「あんなにでかい奴をあっさり倒すなんて、あの小さい奴はどれだけの実力があるんだ」と読者に強く印象付けることができるんですね。
ここで①の特徴が足枷になって怪鳥を苦しめます。

ゲロルドは、バトルウルフに散々びびった挙句、外へ出ようとしたところでマンサム所長にワンパンされて出番を終えています。
ゲルババは、空を飛んでる最中にマリオというボス格の猛獣にサクッと首を切り落とされます。
怪鳥にとっては残念ですが、漫画に登場するからには仕方ありません。

【終わりに】

以上で私の考察を終わります。
やはりしっかりした怪鳥のイメージが島袋光年にはあるんでしょうね。
怪鳥好きとして嬉しい限りです。
皆さんも怪鳥について自分なりの考えを持ってみてはどうでしょうか。

ご清聴ありがとうございました。

ふー終わった終わった。
ところで、マンサム所長も好きな化け物いるんですか?
怪鳥ゲロルドですか?それともやっぱり怪鳥ゲロルドですか?


『トリコ』KC3巻 102p参照

全然違いました。

 

参考資料

◆『世紀末リーダー伝たけし! 12巻』島袋光年 2000 集英社
◆『トリコ 3巻』島袋光年 2009 集英社
◆『姓名判断 彩』http://namaeuranai.biz/(最終確認2017/04/22)

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