なぜラッキーマンにはやたらと硬い物質が出てくるのか

   

こんにちは。国府町怒児(こうまちぬんじ)と申します。
今回は、とっても!ラッキーマンという漫画に、なぜやたらと硬い物質が出てくるのかということを考察します。

 

とっても!ラッキーマンとは


『とっても!ラッキーマン』KC1巻表紙参照

まず、とっても!ラッキーマンについて紹介しておきます。
とっても!ラッキーマンは、1993年から1997年に週刊少年ジャンプで掲載されたギャグ漫画です。作者であるガモウひろしの代表作です。
全ての敵にラッキーのみで勝つラッキーマンが、仲間とともに地球のために戦っていくというストーリーになっています。

私はこの漫画を読んでいく中で、一つ大きな特徴を見つけました。

硬い物質めちゃめちゃ出てくるな

ということです。実際に例を見てみましょう。

 

硬い物質の出てくるシーン

 


『とっても!ラッキーマン』KC6巻50P参照

コミックス6巻では、天才マンの「カッ」でも壊せない椅子を壊したことで、努力マンが世直しマンに力を認められる描写があります。


『とっても!ラッキーマン』KC14巻147P参照

コミックス14巻では、養成ギブスを外した勘ピュー太マンの投球でキャッチャーのチョーカタマンが木っ端微塵になっています。

ここで私は一つの予想を立てました。
「この漫画では、どれだけ硬い物質を壊せるかでキャラクターの力を表現しているのではないか」、ということです。

物質の硬さは戦闘力を表している?

そして漫画を読み込んでいく内に、予想を裏付ける現象に出会いました。
物質の硬さがインフレしていたのです。
少年漫画のお約束といえば、戦闘力のインフレですね。
1000パワーの敵をやっと倒したと思ったら、そいつは実は雑魚で、12万パワーのボスが控えていたみたいな奴です。
ラッキーマンでは、物質の硬さが戦闘力に置き換わってインフレしていくのです。

具体的に物質の硬さがインフレしていく様子を見ましょう。

 

硬さのインフレ


『とっても!ラッキーマン』KC8巻68P参照

まず、コミックス8巻68Pで、絶対に壊れない物質であるガンジョーダXが出てきます。


『とっても!ラッキーマン』KC9巻82P参照

このガンジョーダXですが、コミックス9巻の82Pであっさり壊されます。
絶対に壊れないはずだったのに。


『とっても!ラッキーマン』KC10巻83P参照

さらに物語が進むと、ガンジョーダXを破壊した攻撃でもびくともしないジャンプノヘンシュウブトビラという物質が出てきます。
確かに硬そうな名前です。


『とっても!ラッキーマン』KC10巻128P参照

じゃあ、ジャンプノヘンシュウブトビラが一番硬い物質なんだな。
そう思っていると、コミックス10巻(128P)にチカラジマンという敵が出てきます。
こいつの何気なく握った岩が、ジャンプノヘンシュウブトビラの87倍の硬さだというのです。
物質の名前は、ガモーノカーチャンノサイフノヒモだそうです。
最初のガンジョーダXと比較すると952倍もの硬さを誇っています。


『とっても!ラッキーマン』KC10巻170P参照

よし、ガモーノカーチャンノサイフノヒモが今度こそこの世界で一番硬いんだな。
その認識もすぐに打ち崩されます。
チカラジマンを倒すと、今度は工藤兄弟という野球をモチーフにしたキャラクターが現れます。
こいつらが自分たちの力を誇示するために壊している球場がなんと、ガモーノカーチャンノサイフノヒモの15倍硬いそうです。
名前は、ヤットデタイッカゲツベンピウンチとのことです。


『とっても!ラッキーマン』KC10巻170P参照

そして次のコマではもうコチカメセンカイトッパという新しい物質が出て、硬さの最高記録が更新されています。


『とっても!ラッキーマン』KC11巻103P参照

最終的に、裏宇宙編のラスボスであるさっちゃんの部屋が、全てショクパンヨリフランスパンという物質でできていて、これが「ガンジョーダXの100億倍、ジャンプノヘンシュウブトビラの1億倍、ガモウノカーチャンノサイフノヒモの100万倍、ヤットデタイッカゲツベンピウンチの10万倍、コチカメセンカイトッパの1万倍」(コミックス11巻103P)硬いという事態になります。

なぜここまでインフレが起きたのかということについては、コミックス10巻170Pで、「なんかガンジョーダXってすごくやわらかくない?」というセリフがあることから、意図的に大げさなインフレをさせていることが分かります。
無意識にインフレしていっている作品では、こんなセリフ出てきませんからね。
それとは別に、私は一つ疑問を抱いていました。

 

なぜ戦闘力ではなく物質の硬さなのか

「なぜ戦闘力ではなく物質の硬さで強さを表したのだろう」という点です。
戦闘力○○パワー、等級○○とした方がより強さが分かりやすいのではないか。
わざわざ硬い物質を壊すことで、間接的に強さを表したのはなぜだろうか。
数字でパワーを表してはいけない事情が何かあるのだろうか。
私なりに考えていくと、3点の理由が見つかりました。

 

ラッキーマンの性質

1点目は、ラッキーマンの性質です。
冒頭でお話したとおり、ラッキーマンは力で勝つのではなく、ラッキーで勝つのです。
そのため、他の少年バトル漫画と比べて、強さと勝利の相関が低いと考えられます。
実際にラッキーマンは、戦闘能力だけならヒーローの中でも最低クラスです。
よって数値で強さを表すことは適さないのでしょう。
とはいえ、どいつが強くてどいつが弱いかは一応分かるようにしなければならないため、仕方なく硬い物質を壊しているということになります。
仕方なく硬い物質を壊す?何だその日本語。

 

勝利マンの存在

2点目は、勝利マンの存在です。

勝利マンは、絶対に負けられないという性質を持っています。
勝利という名を冠しているからには、そうなのでしょう。
そのため、作中では常に強者であり勝者でなくてはなりません。
仮に敵の強さがインフレしたとしても、それについていけないようでは困るのです。
なので、敵の強さと勝利マンの強さの差を曖昧にするために、
具体的な数値で戦闘力を示すことを避けたとも考えられます。

 

マイナーヒーローたちへの配慮

3点目は、マイナーヒーローたちへの配慮です。
つまり、彼らをフェードアウトさせないようにしているということです。
ラッキーマンでは、途中で仲間になったヒーローたちが脱落せずに全員ついてきます。
通常のバトル漫画では、戦闘力のインフレによって使い物にならないくらい弱くなったキャラクターは、登場しなくなります。
ラッキーマンのすごいところは、それが一切ない点です。
どれだけ弱いキャラクターにも見せ場が用意されています。
大ボケ担当のスーパースターマンはともかく、
トップマン、ナイスマンといった強さも人気も微妙な連中であっても最後まで出てきます。
成り行きで仲間になった御曹司マンも見捨てません。
これは、数値で強さを指定してしまってはできないことです。
数値で表すと、マイナーヒーローたちの見劣りが顕著になるからです。
「こいつ他のキャラの劣化じゃん。いらないじゃん」という風になってしまいます。
ガモウひろしはそれが嫌だったのかもしれません。

終わりに

以上で私の考察を終わります。
それにしてもあれですね、自分も硬い物質の名前を考えたくなりますね。
ウッタバットガオレルなんてどうでしょうか。

 


『とっても!ラッキーマン』KC8巻69P参照

ドン引きされました。

 

参考資料

◆『BEIZ Graphics』 http://www.beiz.jp/(最終確認2017/04/01)
◆『とっても!ラッキーマン1巻』 ガモウひろし 1994 集英社
◆『とっても!ラッキーマン6巻』 ガモウひろし 1995 集英社
◆『とっても!ラッキーマン8巻』 ガモウひろし 1995 集英社
◆『とっても!ラッキーマン9巻』 ガモウひろし 1996 集英社
◆『とっても!ラッキーマン10巻』 ガモウひろし 1996 集英社
◆『とっても!ラッキーマン11巻』 ガモウひろし 1996 集英社
◆『とっても!ラッキーマン14巻』 ガモウひろし 1997 集英社

 - 考察系